シャンプーのボトルが空になって、別のものに変えました。その次の週、排水口のフタを持ち上げて、少し手が止まりました。
真っ先に浮かぶのは「このシャンプーが合っていないのかもしれない」です。ボトルの裏を読み直して、洗浄成分の名前を検索して、レビューを読み込む。だいたいこの流れになります。
でも、順番が抜けていました。シャンプーを変えた時期と、抜け毛が増える時期は、ほとんど必ず重なります。 ボトルを疑う前に、そこを切り分けないと答えが出ません。
この記事では、抜け毛が「増えた」と感じたときに何を確かめるか、シャンプーのせいだと言い切れる場合と言い切れない場合、戻すときの順番までを整理します。読み終わったら、少なくとも「わからないまま新しいシャンプーを買い足す」ことは避けられると思います。
シャンプーを変えた時期は、抜け毛が増える時期と重なっている
シャンプーを買い替えるきっかけは、だいたい決まっています。前のボトルが空になった、季節が変わって髪の調子が落ちた、夏に傷んだ気がした——このあたりです。
つまりシャンプーを変えるのは、髪の調子が落ちたと感じた後です。原因と結果の順番が、最初から怪しくなっています。
そこにもう一つ重なります。抜け毛の量には季節の波があり、8月から11月にかけて増えるのは珍しいことではないとされています。夏に受けた紫外線や汗、皮脂の影響が、時間差で出てくるという説明が一般的です。
くわしい季節性の話と、受診を考える線引きは40代で抜け毛が増えたのは秋のせい?にまとめています。この記事とセットで読むと、切り分けがしやすくなります。
夏の終わりから秋にシャンプーを変えた方は、「シャンプーを変えた」と「季節が変わった」が同時に起きています。 この状態で片方だけを犯人にするのは無理があります。
「増えた」の正体は、数え方が変わったことかもしれません
これがいちばん厄介なところです。
1日に抜ける髪は50〜100本程度が目安とされています。ただ、この本数を実際に数えている方はほとんどいません。私も数えたことがありません。私たちが「増えた」と判断しているのは、本数ではなく目に入った量です。
そして、目に入る量は、こんなことで変わります。
- シャンプーを変えた日から、排水口を見るようになった(それまで見ていなかった)
- 泡立ちが変わって、洗っている時間が長くなった
- テクスチャが変わって、髪を触る回数が増えた
- 詰め替えのタイミングで、シャワーヘッドや排水口も掃除した
新しいシャンプーは、必ず「意識して洗う日」を連れてきます。 意識した日の抜け毛は、意識していなかった日の抜け毛より多く見えます。
もうひとつ。髪には成長期・退行期・休止期のサイクルがあるとされ、休止期に入った髪は、洗髪やブラッシングという物理的な刺激で抜けます。これは抜けるべき髪が抜けているだけで、洗ったから抜けたのとは意味がちがいます。ていねいに洗った日ほど、その日に抜ける本数が前に寄る、という言い方もできます。
だから最初にやることは、本数を数えることではありません。場所を1つに決めることです。
- 見るのは排水口だけにする(枕・ブラシ・床は数えない)
- 見るのは夜のシャンプー後だけにする(朝は見ない)
- それを2週間続ける
量の記憶ではなく、同じ場所・同じ時間の比較にしないと、増えたかどうかは判定できません。地味ですが、これをやらないと先に進めません。
シャンプーのせいだと言い切れる場合/言い切れない場合
切り分けの基準を出します。
シャンプーを疑う理由がある場合
- 使った当日〜数日で、頭皮にかゆみ・赤み・ヒリつきが出た
- フケが急に増えた、または頭皮が突っぱる感じが続く
- 髪ではなく頭皮の症状が先に来ている
- 洗い上がりがきしんで、乾かすときに髪が引っかかって切れている
この場合、抜けているのではなく切れていることがあります。抜け毛と切れ毛は別の話です。抜けた毛の根元に白い丸(毛根)があるか、途中でちぎれているかで見分けられるとされています。
シャンプーのせいだと言い切れない場合
- 頭皮には何も起きていない
- 変えたのは夏の終わりから秋(季節性と重なっている)
- 同時にトリートメントやドライヤーも変えた
- 変えてから2週間もたっていない
とくに最後が大きいです。2週間では、季節の波とシャンプーの影響を区別できません。
なお、すすぎ残しや洗いすぎで頭皮の調子が落ちることもあります。シャンプー自体ではなく洗い方のほうが原因になっている場合は、40代の正しいシャンプーの仕方を先に見直したほうが早いです。ボトルを買い替えても、洗い方が同じなら結果は変わりません。
戻すなら、1つずつ戻す
ここでやりがちな失敗があります。不安になって、一度に全部変えることです。
シャンプーを元に戻して、同時に評判のいいトリートメントを足して、ドライヤーの温度も下げる。気持ちはわかります。でもこれをやると、何が効いたのか永久にわからなくなります。
順番を決めておきます。
- まず1つだけ戻す(シャンプーだけ。トリートメントは触らない)
- 2週間から1ヶ月、同じ場所・同じ時間で見る
- それでも変わらなければ、次の1つに手をつける
なぜ2週間から1ヶ月なのか。髪の生えかわりのサイクルは年単位で語られることが多く、数日で結論が出るものではありません。1週間で判断すると、季節の波を自分の判断だと思い込みます。
面倒に聞こえると思います。不安なときに1つずつしか動かさないのは、けっこう我慢が要ります。ただ、同時に2つ変えると、結果が出ても出なくても「なんとなく」で終わります。次に同じことが起きたとき、何も参考にできません。
それでも減らないとき、シャンプーの話ではなくなります
切り分けても変わらない場合、見るところが変わります。
見ておきたいのは量ではなく、次の2つです。
- 髪が細くなった(同じ本数でも、束ねたときに細い)
- 分け目が広がった(地肌が見える幅が変わった)
この2つが動いているときは、シャンプーで説明できる範囲を超えています。40代はホルモンの変化や鉄・たんぱく質の不足、睡眠、ストレスなど、複数の要因が重なりやすい時期です。
シャンプーは頭皮を洗うものです。 頭皮の環境を整える役割はありますが、抜け毛そのものを止める薬ではありません。ここを混ぜてしまうと、シャンプーを何本買い替えても手ごたえが出ません。
頭皮の環境を整える方向で選び直すなら、40代の抜け毛・ボリューム不足向けスカルプシャンプーで目的別に比べています。医薬部外品と化粧品のちがいも含めて整理しているので、「どこまでを期待していい商品なのか」の線を引いてから選べます。
そして、細さと分け目が続けて変わっているなら、市販品を試す前に一度みてもらう選択も現実的です。受診を考える線引きは、先に挙げた抜け毛と秋の記事に書きました。
よくある質問
Q. 新しいシャンプーは、何日くらい試せば判断できますか?
頭皮にかゆみや赤みが出た場合は、その時点で止める判断でよいと思います。何も起きていない場合は、2週間から1ヶ月は同じ条件で続けないと、季節の波と区別できません。
Q. 抜け毛と切れ毛はどう見分けますか?
抜けた毛の根元に白っぽいふくらみ(毛根)があるかを見ます。途中でちぎれているものは切れ毛とされています。切れ毛が多いなら、洗浄力ではなく乾かし方や摩擦のほうを先に疑うことになります。
Q. 高いシャンプーに変えれば抜け毛は減りますか?
価格と抜け毛の量は直結しません。シャンプーは頭皮を洗うもので、抜け毛を止める目的の医薬品ではありません。まず洗い方とすすぎを整えたほうが、変わるとしたら早いです。
Q. 元のシャンプーが廃盤で戻せません。
戻せない場合は、比較の基準を「前のシャンプー」ではなく「同じ場所・同じ時間で見た2週間分」に置き換えます。前と比べるのではなく、これからの2週間を基準にする形です。
まとめ
シャンプーを変えて抜け毛が増えたと感じたとき、確かめる順番はこうなります。
- 見る場所と時間を1つに固定して、2週間そろえる
- 頭皮に症状が出ているかを見る(出ていればシャンプーを疑う理由になる)
- 変えた時期が夏の終わりから秋なら、季節性と重なっていることを前提にする
- 戻すなら1つずつ。同時に2つ変えない
- 量ではなく細さと分け目が動いているなら、シャンプーの話ではなくなる
正解かどうかはまだわかりませんが、私はこの順番を通すようにしています。不安なまま次のボトルを買い足す前に、まずここを済ませたいからです。
シャンプーを変えて抜け毛が増えたと感じたとき、いちばん疑われにくいのは、変えたことではなく変えた時期です。犯人だと思って使うのをやめたボトルは、たぶん無実だったのだと思います。
合わせて読んでいただきたい記事です。
季節性の抜け毛と受診の線引きは40代で抜け毛が増えたのは秋のせい?に、洗い方そのものの見直しは40代の正しいシャンプーの仕方にまとめています。



